今年最も面白かった本(活字篇)

徳富蘆花「盧花日記」全7巻(徳富蘆花-wikipedia)
これまで、徳富蘆花について知ってる事といえば京王線芦花公園くらいで、最も有名であろう「不如帰」だって手に取った事すらなかった。キッカケはこれ。

逆説的日本語読本 面白すぎる日記たち (文春新書)

逆説的日本語読本 面白すぎる日記たち (文春新書)

ふぞろいの林檎たちの鬼プロデューサーで、今はTBSのえらい人・鴨下信一の著書で、タイトル通り面白すぎる日記が有名無名問わずたくさん紹介されている。大抵人間ていうのは、自分にとって都合の悪い事やこっ恥ずかしい事は隠すもので、石川啄木だってよその女とフィストファックやらかした事を奥さんにバレたくない為にローマ字で書くなどの小細工をしている(でも実際は、奥さんローマ字読めたらしいよ\(^o^)/)。
盧花日記にはそういうのが全くない。何の配慮もない。露出狂かって程丸出し、だだもれ。とにかく徳富蘆花って人はむちゃくちゃだ。私は時間の関係上*11巻しか読めてないんだけど、全体の7割がちんこの事しか書いてなかったと思う。自分の性遍歴を子細に書き連ね、挙げ句の果てには自分の母親や宗教画の聖母マリアにまで欲情したとか書いている。盧花は35歳頃、スランプに陥って全く書けなくなった時期があり、その中で発表されたのが「寄生木」だったんだけど、実はこれは盗作でパクられた人は自殺した。その事に責任を感じたのか、盧花は彼の姉妹を引き取って家で面倒みる事になった。でも盧花はあろうことか、この姉妹にも手を出そうとする。姉妹の機転により間一髪のところでその魔の手から逃れる事ができたものの、この姉妹が盧花家を去った後も「あの時強引にヤっときゃよかった!」とネチネチと後悔している記述が続く。異常なまでの性の執着。盧花の奥さんはこの日記を密かに盗み読んでいたらしく、日記の途中に「破いて焼いて捨てたい日記!」等の書き込みが見受けられる。盧花もまた奥さんの日記をしょっちゅう盗み見してたらしい。それどころか、自分の日記が奥さんに読まれてる事も知ってて、むしろ読んでもらいたがってるようなふしがある。はっきりいって、真性の変態だ(褒め言葉)。ただ読み手としては品行方正な常識人の日記よりも、ロクでもないピカレスクの方が面白いに決まってる。読みながら何度も「ひどい!」とか「どS!」とか叫びつつも、何時間も夢中で読みふけってしまったのは言う迄もない。いつか必ず手元に置いておきたい本。どうでもいいけど盧花がもしも現代に生きてたなら、絶対mixi中毒になってると思う。

鴨下さんの本で紹介されてた、大塚英子(吉行淳之介の愛人)の「暗室日記」もかなり面白そう。

*1:府立図書館から取り寄せないと在庫がなかったため、返却日が非常に短かった